ネクタイを締めることは、普段スーツを着ない私にとっては特別なことでもあり、身が引き締まる思いがするものだ。
ふと考えてみると、ネクタイというのは男性のスーツに限られているようだ。
女性の場合は、ネクタイに替わるものはないように感じる。
女性の読者にとってはわかりにくい文章となるかもしれないが、ご了承いただきたい。
7月になり、暑さが増している。
クールビズと呼ばれる、電気代を抑えるために軽装をして仕事をすることが今や当たり前となっている。半袖のシャツやポロシャツ、企業によってはTシャツというところもある。
もちろん、企業努力としての取り組みなのだから、私が意見するようなことでもないのだけど。
ただ、『ネクタイを締めること』は、単にネクタイを締めるという行為だけではなく、おしゃれの一環でもあり、表情や品を一段階上げる効果もあると思う。
素材やデザインもピンからキリまであり、中でもヨーロッパのハイブランドはその気品からして違う。ストライプ柄にしろ、チェック柄にしろ、マルチパターンにしろ、シルク素材が際立っている。もちろん値段も際立っているが、いつか目指したい場所のひとつである。
先日、ネクタイを締める機会を持った。
ドレスコードがあるわけでもなく、自らの意思でネクタイを締めたのだが、その行為だけでやる気が出たのには驚いたし、周囲からの扱いも何故か違うような気がした。変わらないマイブームは細身のスタイル。敢えて細く締め、襟元はあくまでルースにする。かっちりしすぎないスタイルではあるが、本人のセンスが問われる、難しい着こなしだ。もちろん、この季節なので暑い。半袖シャツでもないし。
それでも、ネクタイを締める理由が私にはあった。
【大切な方に逢う】ということ。
そのために私はネクタイを締めた。
私がネクタイを締めていることなんて、その方は気にしていないかもしれないし、特別なことでもないのかもしれない。ただ、私は敬意を払いたかっただけなのだ。
これが、私の、アトリエ・IMAとしての礼儀だから。
このちょっとした工夫が、絶大なる効果を生むこともある。
特に私たちのような、目に見えないものを扱う者としては。
君は、ネクタイを締めるか。